ARTIST ─────
日本の美を融合。
伝える匠の技。
黒木国昭は、日本の文化、歴史、伝統、装飾の世界をガラスという西洋の素材に融合させてきた。
ガラス工芸作家として、日本国最高水準の技能を有する技術者であることが認められ、国の卓越技術者「現代の名工」を受賞。
透明で美しく、
不可思議な世界に
自分の一生をかけた
昭和38年3月13日、宮崎から東京に向かう(急行高千穂号)集団就職列車に乗り、一般的なガラス会社に就職したのがきっかけです。当時からガラス工場の仕事は、作業場は暑く、火傷するし長く務まらない会社として有名でした。同期の仲間が一日おきに辞めていくなか、厳しい父親と交わした約束を胸に、勤め上げる覚悟を持てたことがとても大きかったのだと感じます。そこで初めて出会ったガラスは透明度が高く、流動感あふれ、まさに他の素材では見られない不可思議な世界でした。それが熱をもって急速に冷えて固まる、素晴らしい宝石やダイヤモンドみたいに光り輝いてくれる。
素材の美しさに大きく心揺さぶられた私は、これだったら自分の一生をかけられるのではないかと思いました。
国の卓越技能者
ガラスが私を育ててくれた
神様からいただいた目や口、鼻、耳、いろんなものを判断できる力を人間としていただいている。目を凝らし、ガラスが焼ける匂いや音、手に伝わる熱の温度でガラスの状態を見分ける。
ガラスを五感で感じ、その素材が私をここまで先に先に引っ張ってくれた。
西洋のガラスと日本人である黒木国昭としての感性の融合を求めてきた私の答えが、“五感の集大成”である。
引き継ぐものとして
私は、素晴らしい仕事を世に残してくれた先輩方の仕事の分析とリサーチを徹底的にやってきました。
それは、短い人生の中で何を目指していくのかというときに、自分の立ち位置がわからないと良い仕事ができないと思ってきたからです。
「常に分析とリサーチを行う」、「自分の立ち位置を見定めて仕事をする」。作家としての機軸は、そこにあるべきだと考えております。
常に自分の位置を確認し、行き先を決めていく必要がある。
後を受け継ぐ若者たちがこの精神を理解し実践することで、自分たちの道を見失わず前に進むことが出来ると思う。
黒木国昭略歴
世界初100年ぶり復刻
「琳派と広重の展開」展開催
台湾国立歴史博物館「日本台湾芸術文化交流展」開催